産業医面談 休職復職・長時間労働・高ストレス

こんにちは。産業医中村です。

 

今日は産業医面談について書いていきます!

 

人事や経営者の方で、従業員の健康問題について専門家からの意見や判断を求めて産業医面談を検討している方は、この記事を読むと産業医面談で何をするのか、どんなメリットがあるのかが分かるようになります。

 

企業の担当者は、産業医面談を有効に活用するために、産業医面談に関わる基本的な知識をもっておくことが重要です。ここでは、最低限理解しておくべきポイントを3つに分けて説明します。

 

産業医面談とは

産業医面談とは、従業員の心身の健康に問題がないかどうかを確認し、健康的に働き続けるよう調整を計るためのものです。

 

健康診断やストレスチェックの結果の事後措置として、もしくは長時間労働やメンタルヘルスに関わる問題、さらに休職・復職判定などのタイミングで行います。

 

そもそも産業医は病院の医師とは何が違うのか、というと、産業医とは、従業員が健康的に仕事をできるように指導や助言をする医師のことです。ですので、診断や治療行為を行わないのが、病院やクリニックの医師とは異なる点で、産業医面談でも「病名を見極めるために面談するわけでない」ですし、「産業医が従業員の不調などの治療を施すわけではない」ので間違えないようにしましょう。

専門医による診断や治療が必要な場合には、医療機関の紹介などを行います。

産業医の安全衛生上の役割についてはこちらの記事もご覧ください。

 

 

産業医面談の種類と目的

 

ストレスチェック

ストレスチェックの結果、高ストレスのため医師による診断が必要と判定され、面談を希望した従業員に対する面談です。

ストレスチェックについての詳しい記事はこちらをご覧ください。

 

長時間労働

面接指導の対象となる従業員は「時間外・休日労働時間が1カ月当たり80時間を超え、かつ疲労の蓄積が認められる者」です。2019年4月1日に施行された働き方改革関連法により対象が拡大されていますので、自社の従業員についてもう一度対象者がいないか確認しておきましょう。

 

長時間労働者に対する産業医面談の目的は、残業の増加などにより疲労が蓄積し、健康障害発生のリスクが高い従業員に対し、健康状態を把握してアドバイスを行うことです。

場合によっては産業医から就業上の措置について意見書が出るので、それをもとに従業員本人、事業場ともに職場環境の改善を図ると良いでしょう。

 

休職復職判定

休職面談は、休職希望のあった従業員、または休職指示を検討している従業員と産業医が面談を行い、主治医の診断書、休職への意思、就業能力の評価、休職の原因等を基に意見書を作成します。

 

復職面談は、復職を希望している従業員の方と産業医が面談を行います。疾患の回復は十分か、就業への意欲があるか、規則的な生活ができているか、安全に出社できる環境が整っているかなど、復職への障害や再発の懸念がないかを確認します。

 

その他にも

・雇入健診後

・健康診断事後の措置

・医療相談

・上記の面談でフォローが必要な場合

などの場合、産業医面談が実施されます。

 

産業医面談の実際の流れ

準備

産業医の面談には従業員についての事前情報が必要になります。業務内容、主治医の意見、直近の勤怠状況など、できる限り情報を集めて総合的に判断します。面談者と担当者は例えば以下のような種類を準備しておくとスムーズかつ正確な判断ができるでしょう。

・休職前 直近1カ月間の勤怠管理表

・健康診断結果

・主治医の診断書(※主治医が「復職可能」と記した診断書 )

・就業規則など復職判定基準が記載されている資料対象となる従業員の氏名、性別、年齢、所属する事業場名、部署、役職、業務内容等

・休職に至るまでの経緯がわかるもの

・(入手可能ならば)治療記録

 

産業医面談を行うためには、まず従業員側から面談を希望してもらわなくてはなりません。特に、初めて産業医を選任した企業の場合、産業医面談の存在について全社員に周知する必要があります。社内の掲示板やポスター、パンフレットなどを用い、全社員がわかるようにしておきましょう。

 

また、産業医面談は特別な人しか呼ばれないというイメージを払拭するのも大切です。産業医面談の対象者は、勤怠不良や長時間労働者であること、高ストレス者など含め面談希望がある場合は対応可能であること、産業医面談はあくまで法律や制度に従ってやるもので特別ではないこと、人事考課には一切関係なく、専門家の立場から客観的に判断して、働く際に発生する体調や健康面でのチェックをするのが目的であることを正しく説明する必要があります。

面談を受けることで、メンタル不調を含めた病気を早く発見できるなどのメリットを伝え、面談は企業のためではなく、従業員のために行うものであることを啓蒙しましょう。

 

面談実施

産業医面談では、従業員の仕事の状況などの他、ストレスの要因(仕事以外のことも含め)、睡眠や食事、運動などの生活習慣に関わることや治療中の疾患についての相談、「病院に行ったほうが良いか?」や健康診断の数値についての相談などを受け、必要に応じて受診勧奨を含めたアドバイスを行います。また、職場の愚痴や現状への不満を聞くこともあります。

 

守秘義務があるので、生命の危機があるなどの緊急の場合を除き、企業側には面談の内容を漏らすことはありません。産業医には、「守秘義務」と「報告義務」という2つの相反する義務が課されています。

 

産業医は面談の内容を全て会社側に報告すると勘違いしている従業員が多いのですが、それは大きな誤りです。命に関わる重大事項や本人が企業に通達を希望した場合を除き、産業医面談の内容は企業側には秘密とされます。

本人が希望しない限り、面談で話した内容が企業側に伝わることは一部の例外(自傷行為や伝染病など、報告しないと本人もしくは周囲の人間の生命に関わること)を除いてありません。

 

事後措置

 

面接指導の実施後は、復職への意思、就業能力の評価を基に、復職判定や就業に際して配慮が必要な措置に関する意見書を産業医が作成します。

 

主治医は「病気が回復したか」を見ているのに対し、産業医は「仕事に戻る準備が整っているか」という観点で判定を行いますので、時には本人や主治医と産業医の意見が異なることもあります。

 

つまり主治医は、診断と治療などの医療的サポートをする一方で、産業医は、主治医と連携しながら本人の病状を理解した上で、業務上の配慮や環境調整などを行うよう上司や人事労務担当者へ働きかけます。 つまり、主治医は「医療的なサポート」、産業医は「職場でのサポート」をそれぞれ担うということになります。 職場復帰の場面では、主治医が病状の回復をもって復職可とするのに対して、産業医はさらに業務遂行能力まで回復できているのかを見て、最終的な復職の可否を会社に「意見」として出します。 ここで言う「業務遂行能力の回復」とは、例えば通勤時間帯に一人で安全に通勤ができるとか、ある程度の勤務を続ける体力や集中力が回復しているか、などとといったことです。 主治医よりも産業医のほうが職場の情報を持っており、産業医は企業のより近くにいるので、不調のある人のサポートをするとき上司や人事と連携ができる点がメリットですね。

 

とはいえ、復職のときは原則として主治医の「職場復帰が可能である」という旨の診断書が必要です。産業医はそれを受けて主治医と情報を共有しながら、職場復帰の支援を進めていきます。 正式な復帰可否の判断は会社が行います。本人と面談をして業務調整の必要なポイントを考えた上で、上司や人事労務に「意見書」を提出します。これは例えば残業や出張の禁止、配置転換など、不調のある人に対して業務上必要な配慮をまとめたものです。上司や人事労務は意見書の内容に基づいて、本人と話し合いながら業務調整を行います。

ご本人が復帰した後は再び体調が悪化しないよう、主治医や会社と連携しつつ、勤務状況や治療状況などを確認しながら面談や業務調整などのフォローアップを続けていきます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。産業医面談は、従業員として、会社として「何か怒られるんじゃないか」とか「不利益なことを指示されるのではないか」と
ネガティブなイメージを持たれるケースもありますが、あくまで従業員の健康や職場の環境改善のために助言や調整をする目的であり、正しく活用すれば、有効な労務管理の手段の一つになります。

顧問の産業医がいる会社では産業医とよくコミュニケーションをとって面談を運用していきましょう。

従業員数が50人未満などで顧問産業医がいない場合、弊所でもスポットでの面談なども承っております。準備から事後措置までサポート致しますので、
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メンタルヘルス予防専門/産業医 中村有吾

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ビジネスマンが健康的に働くためのサポートをする産業医。
早期発見、早期解決により問題が起きる前に予防し、企業の売り上げにも貢献することをモットーに、業界異例の速さで顧問企業数を増やし、
これまで中小企業20社以上の顧問として多くの従業員の健康を管理してきた。

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